ローズマンブリッジ:思い出の場所
深夜の映画放送で、また「マディソン郡の橋」を見ました。何度も見た映画で、原作も読みました。これは有名な映画で、ご存知の方も多いと思います。
「マディソン郡の橋」では、散骨を通じて、お互い求めあいながら、今生では交じり合う事のなかった二人の人生が、死後、ローズマンブリッジのもとで一緒になるというストーリーです。
このお話しのポイントはやはり、散骨と「その場所への想い」だと思います。そういえば、「世界の中心で愛を叫ぶ」では想いを果たせず行けなかったオーストラリアの大地に亜紀の骨が散骨されました。大切な想いの強い場所、皆さんも一つくらいはお持ちではないでしょうか。 続きを読む
アットホームな雰囲気のマーティン・ハウスの居間
NHKの旅のチカラ「”死”が与えてくれる力を探して」を見ました。作家の高橋源一郎氏がイギリス、リーズにある子供ホスピス、「マーティン・ハウス」を訪ねます。
高橋さんは、数年前次男が急性脳症になった経験を持っています。子供が重病になり、医師から、死や、後遺症の危険があると宣告されるのを聞きながら、「全く意味が分からない」と感じていたそう。それでも、その事実を受け入れた時に、困難を受け入れて生きて行く力や喜びのようなものが体の中から湧き上がってくるような気がした、といいます。その力の源を知りたい、それが子供ホスピスに向かう大きな理由の一つとなったといいます。 続きを読む
僕の死に方 エンディングダイアリー500日
金子哲雄 著
小学館
昨年流通ジャーナリストの金子哲雄さんが亡くなって刊行された「僕の死に方 エンディングダイアリー500日」が話題になりました。金子さんが若くして亡くなった事、また、自分の葬儀やお墓の手配を自分で整えていた事が、終活や葬儀関連業界だけでなく、一般の人々に興味を持たれたようです。
金子さんの著作や、出演したテレビ番組などはほとんど見た事が無いので、生前の金子さんがどういう人なのかは知りませんでしたが、「僕の死に方」を読んでみると、その明快で優しい語り口と、ストレートな、迷いのない思考から聡明な人であることが良く解ります。 続きを読む
「子どもの喪失と悲しみを癒すガイド ― 生きること・失うこと」
リンダ・ゴールドマン著 天貝由美子訳
創元社
子供が、大切な人の死をどうとらえるのか、どのような反応を見せるのか、どのように死と向き合っていくのかは、大人のそれに比べても随分と複雑な問題です。
第一に、子供の死の認識はその発達段階により随分違います。幼稚園児なら死を何か「眠りのような物、一時的な物」としてとらえるかもしれませんし、小学生の低学年では「お化けのような恐ろしい物、でも自分には起らない」といった認識を持っているかもしれません。しかし、小学校も高学年になれば、その死の認識は私達のそれと大差はなくなってきます。
そして、その死と向き合う態度も、大人とは違います。小学生以上になると、喪失の悲しみは、非常にしばしば学校での問題行動、成績の低下、八つ当たり、強がりとして表現され、周りの大人たちは戸惑うことになります。
この本は、子供の喪失に焦点を当て、実際に周りの大人は、子供の喪失への悲しみをどのように理解し、どのように子供を支えればいいのかを解説した非常に実務的な入門書です。 続きを読む
歌師は遺族を導く導師
最近発見して気に入っているNHKの「旅のチカラ」。10月11日の放送は「泣き男のいる山へ :一青窈 中国・雲南省 」だった。
台湾人の父を小学校の時、日本人の母を高校生の時亡くした一青窈は、人の悲しみ、喪失感、切ない思いを涙を絞るように歌ってきた。その一青窈は映画を通じて中国、韓国などに残る「泣き女」に興味を持ち、中国を訪ねる。
「どのような心持で歌っているのか、それが解れば、歌う事は泣く事に似ている、という(自分の)感じがもっとクリアになると期待している。残された家族にとって悲しみを歌ってもらうというのはどういう事なのか…」 続きを読む