悲しみを癒すには哀歌を

歌師は遺族を導く導師

最近発見して気に入っているNHKの「旅のチカラ」。10月11日の放送は「泣き男のいる山へ :一青窈 中国・雲南省 」だった。
台湾人の父を小学校の時、日本人の母を高校生の時亡くした一青窈は、人の悲しみ、喪失感、切ない思いを涙を絞るように歌ってきた。その一青窈は映画を通じて中国、韓国などに残る「泣き女」に興味を持ち、中国を訪ねる。
「どのような心持で歌っているのか、それが解れば、歌う事は泣く事に似ている、という(自分の)感じがもっとクリアになると期待している。残された家族にとって悲しみを歌ってもらうというのはどういう事なのか…」 続きを読む

スピリチュアルな健康:「いのちの乳房~乳房再建に挑んだ女神たち~」を見て

いのちの乳房

「いのちの乳房」:撮影はアラーキー、荒木経惟

先日、「いのちの乳房~乳房再建に挑んだ女神たち~」という番組を見ました。

乳がんによる乳房摘出の後、乳房再建に挑んだ女性たちの写真集、「『いのちの乳房』-乳がんによる「乳房再建手術」にのぞんだ19人-」をめぐるドキュメンタリーです。

乳がんにかかる女性は年々増えており、女性にとって乳がんは他人事ではありません。乳がんの治療では乳房摘出手術が行われることも多いのですが、患者さんは、女性性の象徴ともいえる乳房が無くなったり、傷つくことで、大きな精神的苦痛が残ります。「乳房再建」はシリコンや自らの脂肪やその他組織を使用して乳房を再建する手術で、乳がん患者さんたちの心の苦しみを和らげ、QOLを高める手術です。
しかし、乳房再建手術を受ける人は、乳がん手術経験者のわずか8%。「乳房再建手術」はまだ認知度が低く、決してスタンダードな方法ではないのです。 続きを読む

スピリチュアルケア:共に病み、共に死に、共に癒され、共に歩む

星野富弘 「たんぽぽ」

渡辺医師が学生時代に感銘を受けた星野富弘画「たんぽぽ」。余分なものを捨てて(大切なモノだけ残せば)空を飛べるような気がする

2月26日、静岡で「スピリチュアルケアを隠し味にした」医療をされているタンポポ診療所の遠藤博之先生の講演、「本当に大切なもの」:共に病み、共に癒され、共に歩む、に出かけました。(タンポポ診療所とその医療、医療の背後にある考え方についてはこちらの記事に詳しいのでご覧ください)

遠藤先生は以前、作家の太田宏人さんに紹介されて、ぜひお目にかかりたいと思っていた方ですが、何しろ在宅の緩和ケアをされているということで「とにかく忙しい」と聞き、少々遠慮しているうちに遅くなってしまっていました。先生の温かい人柄の感じられる、ユーモアにあふれた講演でしたが、私自身として2つの点が特に勉強になりました。 続きを読む