遺骨からダイヤモンドは本当にできるか(2):火葬後のお骨に炭素が含まれるかどうか
- 2011年05月17日
- 遺骨ダイヤモンド
「遺骨からダイヤモンドは本当にできるか」をテーマに4つの論点から説明をするシリーズの第2回目は「火葬後のお骨に炭素が含まれるかどうか」です。
前回、骨の中には炭素が含まれることを検証しましたが、この炭素成分の多くは、火葬中に燃えてしまいます。しかし、すべてが燃え尽きてしまうわけではなく、一部は残ります。うまくお骨の形を遺す、という日本の高度な火葬技術によるものかもしれません。実際に、お骨を拝見すると、肉眼ではっきり分かるように、お骨の一部が炭化していることもしばしばで、遺骨の中には炭素が含まれることが実感できます。また、実際の物質の燃焼は、処々の条件で大きく左右され、必ずしも理論通りに燃えるというわけではないようです。例えば、紙はもちろん可燃物ですが、火葬の場合において副葬品に厚い本を一緒に入れた場合などには、酸素の供給が内部まで届かず、周りが焦げただけでそのまま出てくる事がある事が知られています。社内の統計的には、お預かりしたご遺骨には1~3%の炭素が含まれており、これは外部機関でも容易に証明が出来ます。
また上記のように黒く見えない分(炭酸カルシウム)にも炭素は含まれています。炭酸カルシウムは加熱により酸化カルシウムと二酸化炭素に分解しますが、これが起こる温度は900℃。一般的な火葬の温度は800℃~1200℃といわれています。火葬が高温の場合、炭素の消失は多くなります。ただし900℃に達すると分解が始まる、のであって大きな塊である骨の内部の炭酸カルシウムの全てが一時に失われるわけではないです。しかし、実際に炭酸カルシウムの炭酸部分から炭素を抽出するのは容易でないのに実が少なく、技術的には可能ですが、あまり実用的とは思われません。
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