遺骨からダイヤモンドは本当にできるか(1):骨に炭素成分はあるか
- 2011年05月10日
- 遺骨ダイヤモンド
先日、友人からメールをいただきました。
『友人にアルゴダンザのダイヤモンドの事を話したら、「骨には炭素が入っていないから、遺骨からダイヤモンドは出来ないんじゃないの」と言われました。どうなんですか?」という内容でした。
アルゴダンザのサービスを提供して5年以上になりますが、年に2回くらいこの手のお話を頂きます。今まで個別に返事を差し上げてきたのですが、この際一度お話してもいいかな、と言う気になりました。「遺骨からダイヤモンドは本当にできるか」をテーマに4回にわたって、以下の4つの論点から説明をしたいと思います。
- 骨の中に炭素成分があるか
- 火葬後のお骨に炭素が含まれるかどうか
- 遺骨、遺灰の概念について
- アルゴダンザ社は遺骨中の炭素成分を用いて合成ダイヤモンドの製作が可能かどうか
第一回の今日は「骨の中に炭素成分はあるか」です。
遺骨からのダイヤモンドの製作を疑問視(?)する方は大体理数系の方が多くて、まずおっしゃるのは「骨はほぼカルシウムだから炭素はない」という事です。そんなことご存知でした?私は知りませんでしたが…
調べてみると、確かに人の骨の「白い部分は」ほとんどカルシウムです。でも、火葬されているのは骨、ではなくてご遺体です。実は、人の骨はカルシウムに由来する物とたんぱく質に由来する物が絡まりあって出来ています。カルシウムに由来するのは、白くて硬い部分ですが、これだけでは簡単に折れてしまいます。実際には、コラーゲンを中心とするたんぱく質が骨の成分の40%を占めています。その部分も含めた骨の組成の概要は以下の表のとおりです。
骨に炭素成分が含まれているのははっきりしていますね。
骨の組成 | 有機物 (40%) | コラーゲンを主とするたんぱく質(40%) | タンパク質を構成する元素は水素(H)、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、及び硫黄(S)の5種類であり、炭素を多く含む |
無機物 (60%) | リン酸カルシウム(85%) | 炭素を含まない | |
炭酸カルシウム(10%) | 炭酸部分に炭素を含む。計算値では炭素の量はこの内12%となり(60% x 10% x 12%)全体の0.6%程度 | ||
リン酸マグネシウム(1.5%) | 炭素を含まない |
遺骨からダイヤモンド、夢のあるお話ですね。
骨の基質に炭素が含まれている。コラーゲンなどのタンパク質中のアミノ酸に炭素が含まれている。というのは確かだと思います。
1つ疑問が生じたのですが、炭素を含む有機物は燃焼させるとH2OとCO2に分解されるので、遺骨中に炭素が残るのかどうかということです。
一般的に有機物は500度で燃焼しますが、火葬の温度は2000度だそうです。いかがでしょう。