ニコール・キッドマン主演「ラビット・ホール」を見て:やがてポケットの中の小石に変わる

年末に、遅ればせながら静岡でも「ラビット・ホール」の上映がありました。グリーフ・カウンセリング・センターの鈴木剛子先生に紹介された事、ニコール・キッドマン製作・主演、しかも以前ご紹介した、これもまた素晴らしい喪失に関する映画、「ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ」を監督主演したジョン・キャメロン・ミッチェルが監督、と期待していました。

この映画では、先ず、子供を亡くした親が、如何にすれ違い、傷つけあい、こう着しながら、その夫婦関係が「ゆっくりと死んでいく」辛さが心を打ちました。息子ダニーの思い出を胸に焼き付け、その思い出を大切に、何とか前に進もうと努力する父・ハウイー。面影から抜け出せずにいながら、同時にその面影に苦しめられ、息子の痕跡を拭い去ろうとするような母・ベッカ。
ベッカはどこを見てもダニーの面影を見る辛さに、洋服を処分し、持ち物を物置に片付け、家を磨き上げ、「指紋まで消し去ろうと」しているように見えます。 続きを読む